生命を育む海と山に囲まれた南三陸町には、ここでしか得られない食がある。新しい何かを生み出そうとする仲間たちがいる。地域をつなぎ、語る力を持つワインにとって、そんな南三陸は、まさに可能性の宝庫です。だからこそ、私たちは想います。地域の自然や食、人をワインをめぐる物語でつぎたい。 ワインと料理がマリアージュを起こすように、それぞれの魅力を一層輝かせたい。そんなみんなとのつながりがあるからこそ醸し出せるワインの味わいを追い求めていきたい。この場所を訪れた方々が南三陸とのつながりを感じたり、ワインというお酒を好きになってくれたら、そして、南三陸で新たに紡がれていく物語があなた自身の物語とも重なることがあるならば、こんなにうれしいことはありません。ようこそ、南三陸ワイナリーへ。
生命の海と山、そこで育まれる豊かな食材たち。この町と自然を愛する人々のいきいきとした日々の営み。すべてがつながり、めぐる、南三陸の魅力。ワイナリーはひとつでも多くの魅力とつながり、一人でも多くの方に出会ってもらえる場所でありたい。自然の大切さと、豊かな海の味を伝える漁師がいます。海産物と人懐っこさを味わえる商店街や、牛、豚、羊を育てる個性的な牧場があります。木質ペレットを通じた資源循環への挑戦や世界に誇る南三陸杉で町を元気にする動きも活発です。私たちは、ワインをきっかけに町全体とつながりながら、地域に味わいと賑わいを生み出していきます。
南三陸ワイナリーのワイン造りは地域や人をつなげ、新しい物語を紡ぎます。ブドウ栽培では南三陸産ブドウ100%のワインを1本でも多く造るために、新たな農業に挑む方々から刺激や学びをいただき、ともに挑戦しています。さらに南三陸の山の栄養で育ったブドウは、町内外の方々の手で収穫され、海の見えるワイナリーで大切に醸造。そうして瓶詰めされたワインの一部は、意欲にあふれる地元漁師の協力によって海中熟成の時を過ごし、地元食材とのマリアージュを果たすことになるのです。品質や味わいを追求することが南三陸をつなぎ新たな賑わいを生む。それが、私たちのワイン造りです。
南三陸町入谷地区から始まったワイン用ブドウ栽培は、南三陸町の北端、気仙沼市にまたがる田束山(たつがねさん)へと広がりました。南三陸ワイナリーがこの場所を選んだ理由は、昼夜の寒暖差が大きく、日当たりや風通しも良いためブドウ栽培に適しているから、だけではありません。志津川湾を一望できる南三陸町屈指のビュースポットで、日中には緑と海を感じながらの農業体験、夜には美しい星空の下でのワイン会、自然と一体となってワインを味わうグランピングやツーリズム。様々な人々がワインでつながり、賑わいが広がる未来を思い描かずにいられなかったからです。
南三陸ならではのおいしいワインを造りたい、との想いから始めた取り組みに「ワインの海中熟成」があります。空気中と比べて音の伝わる速度が速い海の中では、様々な生き物、波や泡、船外機などの様々な音が広範囲から微振動として届き、ワインの熟成が早まると言われています。志津川湾に抱かれてワインがまろやかに熟成する過程は、まさに海と山のマリアージュです。海中熟成の背景には、もうひとつのおいしい物語があります。南三陸町戸倉地区では環境に配慮した牡蠣養殖に取り組み、日本初の「ASC(水産養殖管理協議会)認証」を取得しました。海の環境を改善し、丁寧な管理の結果、成長が早く、1年で大ぶりで良質な牡蠣を生産可能になりました。そんな新たな挑戦をしている漁師と一緒に志津川湾での海中熟成が始まりました。志津川湾で沈む姿に想いを馳せながら、どうぞワインと牡蠣のマリアージュをお愉しみください。
江戸時代の中頃から神社の神主さんによって始まったキリコには、不良不作の時でも神様にお供物をささげたい人の祈りのかたちが込められています。南三陸では、その精神性を内包した創作キリコが2010年から始まり、まちの人たちの宝物や思い出などを切り紙で表し、それぞれの軒先に飾るアートプロジェクトも行われました。南三陸ワイナリーのワインのラベルはこの創作キリコをデザインしており、その年のワインにまつわる物語をモチーフにしています。ラベルの創作キリコは、南三陸町志津川にある上山八幡宮の禰宜を務める工藤真弓さんに実際に切っていただいています。キリコの歴史や思いを教えていただきながら、毎年のワインに込めた思いを工藤真弓さんにお伝えし、そのイメージをキリコとして表現いただいています。
ラベルの創作キリコは、南三陸町志津川にある上山八幡宮の禰宜を務める工藤真弓さんに実際に切っていただいています。
キリコの歴史や思いを教えていただきながら、毎年のワインに込めた思いを工藤真弓さんにお伝えし、そのイメージをキリコとして表現いただいています。
南三陸ワイナリー株式会社
代表取締役
佐々木 道彦
大手楽器メーカーの新規事業開発に携わり、東日本大震災後、仙台市に移住。2019年1月、南三陸地域おこし協力隊に着任。2019年2月に南三陸ワイナリー株式会社を設立。南三陸町の新産業として海の見えるワイナリーを設立し、耕作放棄地でのぶどう栽培、町内でのワイン醸造、地域食材と合わせた町内外へのワイン販売を通して6次産業化を推進することで、復興および地域産業の活性化に寄与することを目指しています。